2014-01-01から1年間の記事一覧

大学で育成すべき“ジェネリックスキル”とは何か?

ご無沙汰しています。ブログの更新がかなり止まってしまっていました。さて、岡山にある「つながる地域づくり研究所(http://www.tsunaken.net/)」というところが発行している地方自治体情報誌“つな研ナビ”の第35号(12月発行予定)に、「大学で育成すべき“…

大学の勉強は何の役に立つのか? その2

前回紹介した小説では、主人公の「私」は、パンフレットの制作を任された時に、自分の頭だけであれこれ考えるのではなく、「情報収集→情報分析→課題発見→構想→表現」といったプロセスをふまえ、質の高いアウトプットを出していました。こうしたプロセスをき…

大学の勉強は何の役に立つのか?

あちこちの大学でオープンキャンパスが開始される時期がやってきました。多くの大学では、「うちの大学で◯◯という分野を勉強すれば◯◯という仕事につける」と言うことが多いようです。たしかにそれは、医・薬・歯学部や教育・保育、理工系などには当てはまり…

いわゆる「社会人基礎力」に関するメモ

今回の記事は、私の仕事上考えていることを、忘れないうちにメモにしたものです。一気に書いたので読みにくいと思います。 すでに、専門家の間では散々議論されつくされていることだとは思うのですが、「私個人としては、社会人基礎力をこんな風に理解してい…

4つの小学校を経験して言えること

今日話題になった小学校の教育に関するブログ記事を読んで、自分の小学校のことを書きたくなりました。ほとんど自分語りですので、興味がない人はスルーしてください。僕は4つの小学校に通っています。 最初に入学した小学校は地方都市の真ん中にある創立10…

卒業生F君の披露宴の祝辞で、ゼミ教員は何を語るのか

大学4年間はその人の一生を左右するほど大きな影響をその人に与えます。 大学時代は、高校時代とくらべて、他者から強制されることは相対的に非常に少なくなります。それが「大学生は自由だ」という意味です。たとえ、縦社会の強い体育会系の部活動であって…

E君はいかにして大学に進学し、ジャージを脱いだか

全国に大学は780ほどあります。それらの大学にはそれぞれ建学の理念があり、それぞれの教育理念を持っています。主観的な思いとは別に、客観的なレベルでも各大学の位置づけというのはなんとなくあります。例えば、家庭環境が貧しくても学力が優秀な学生を選…

大学でbe動詞を教える授業のレベルは低いのか?

大学でbe動詞教える授業、文科省が改善要求 : 社会 : YOMIURI ONLINE(読売新聞) こういう大学の授業のレベルの問題は時々話題になります。僕自身、以前も、twitterでとある大学のシラバスの件で議論になり、「あのシラバスの意味するもの」というまとめ…

C君はいかにしてC大学の学生となり、退学問題を乗り越えたか②

C君は無事にC大学の入学式を迎えました。 入学式終了後、C大学では学部ごとにガイダンスがあります。 C君は法学部なので法学部の部屋に行きます。その場所で法学部長はこんな話をしました。 「大学を出た後、みなさんは社会に出ることになります。大学はここ…

C君はいかにしてC大学の学生となり、退学問題を乗り越えたか①

今回からBLOGOSにも転載されるようになったので、改めて自己紹介をします。 はじめまして、山本啓一と申します。北九州のとある大学に勤める大学教員です。2008年から2012年まで学部長をつとめ、その後も教育改革に携わり続けています。日本の大学は、ここ最…

とある自伝的小説より(フィクションです)〜「大学の勉強は仕事にどう役に立つのか」

退学者問題は、結局のところ、「大学の勉強は社会に出た時にどう役に立つのか」という問題と深く関わっています。目の前の学生に対して、説得力を持った説明を教員が組織的に行うことができれば、それだけで退学率は大幅に変わってくるはずです。退学者問題…

中退問題の前提

中退問題、思いがけない反響を頂いてびっくりしています。このA大学のAくんは完全なフィクションなのですが、どうも多くの人の心の琴線に触れる何かがあったみたいですね。今度はC大学のC君を登場させようと考えています。A君よりさらに勉強ができず、家庭状…

マージナル大学誕生の背景

今回は背景説明のみです。多くの人が知っていることですが、今一度振り返ってみます。前回、大学進学率が日本の経済構造の変動の中で高まっていったと述べましたが、他方で、大学も大幅に増えました。現在、大学数は782校もありますが、1990年は600校ぐらい…

大学退学率と就職率についてシミュレーションをしてみた

前回の記事で、退学問題を事例風に紹介しました。実は、前回紹介した表には続きがあります。 1学年あたりの定員が500名のA大学では、退学率が3.0%です。すると、4年生の段階では443名となり、卒業時には(少なく見積もって)留年が1割出るとして398名にな…

A大学のA君はなぜ大学を退学したのか

大学の退学者問題は、その延長線上に就職問題ともつながってくるわけですが、なかなか大学関係者以外には理解し難い問題かもしれません。なにせ、肝心の大学関係者で、退学者問題・就職問題をきちんと理解している人が少ないのが現状です。 そこで、かんたん…

大学の退学率の意味とは

大学中退:文科省が全国調査へ 年6万人以上、防止策検討(毎日新聞 2014年01月31日) というニュースが話題になっています。よく大学の就職率が話題になりますが、大学関係者にとっては、実は「退学率」こそが深刻な課題として受け止められていることが多い…

『教育学術新聞』11月13日(水)号「学部長向けの研修が必要 山本前学部長に聞く」より

『教育学術新聞』11月13日(水)号に掲載されました。「学部長向けの研修(FD)が必要」というタイトルで、「学部教育」全体をどのようにデザインするか、中間管理職たる学部長のスキルはいったいどうやって育成できるのか、という内容です。転載許可をいた…