ブログ再開「学部マネジメントと学部長の役割」

はてながいつの間にかダイヤリーからブログに進化していました。遅まきながら新しいはてなブログを開設します。以前の職場で書いていたブログはそのまま残しておきます。

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私自身も職場が変わって2年半が経ちました。あっというまの2年半です。この間、何をやってきたかについては、まとめたものを本として出す予定です。乞うご期待。

今日は、それとは別の話題。大学業界の方はご存知かもしれませんが、「大学マネジメント研究会」という研究会があります(https://www.anum.biz)。この研究会で発行している機関誌『大学マネジメント』6月号に拙稿が掲載されました。題して「学部マネジメントと学部長の役割」。

かつて日本の大学は、各学部の教授会の独立性や権限が非常に強く、さらに言えば、個々の教員の独立性が非常に高く、それが組織的な教育体制の構築を含めた様々な大学改革を阻んでいたと言われてきました。

その後、国立大学に関しては法律が変わり、学長は学内選挙ではなく、学内有識者を加えた「学長選考会議」で選出されることになりました。多くの私立大学も、学長選挙が行われているところは、現在ではほとんどありません。

また、教授会は「重要事項の審議」を行う機関から「学長への意見具申」を行う機関へとなり、権限が大幅に縮小されました。

こうして、学長の権限は大幅に強化されました。大学は学長のリーダーシップのもと、全学的なガバナンス体制を構築し、各大学の個性や独自性を反映した取組みを行えるようになりました。多くの大学で、学長直下の組織やプロジェクトが立ち上がり、大学改革をスピーディーに進められる条件は整ったはずです。

しかし、未だに「学部が動かない」という声はあちこちで聞かれます。教授会の権限はほぼなくなったのに、なぜ学部改革が進まないということになるのでしょうか。

その理由は、教授会を弱めた一方で、学部をマネジメントする体制を構築しなかったからではないでしょうか。「学部マネジメント」を担うのは学部長です。しかし、多くの大学では、大学改革において学部長が重要なポストだと思われていません。

『大学マネジメント』同号の巻頭で、大学マネジメント研究会会長の本間政雄先生は「学部長は、1)年功序列的に選挙で選ばれ、2)任期は2〜3年と短く、3)予算や権限がなく、4)補佐体制が弱く、5)報酬が低い。(中略)学部長は結果的に『高等小間使い』と揶揄される」と述べられています。

しかし考えてみると、どんな大学でも教育の基本的な単位は学部です。入試は学部単位だし、学生や教員も所属するのは学部。カリキュラムも基本的には学部単位だし、学士号も学部ごとで授与されます。大学を教育面から見た場合、学部がしっかりしてないと、何も始まらないといえるのです。

そんな問題意識をもとに、前任校の九州国際大学法学部や北陸大学で手がけた学部改革についてまとめてみました。公開許可をいただいたので公開します。

 

山本啓一「学部マネジメントと学部長の役割」『大学マネジメント』2018年6月号, p22-31.pdf - Google ドライブ

 

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